タミータイムは本当に必要?

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「頭の形」だけを見て、赤ちゃんの身体を置き去りにしていませんか?

「赤ちゃんの頭の形が悪くならないように、タミータイムをしています」

先日、そんなお話を聞きました。

タミータイムとは、赤ちゃんが起きているときに、うつ伏せの姿勢で過ごす時間のことです。

現在は、赤ちゃんの運動発達や頭の形のために、起きている時間に大人が見守りながら行うタミータイムが一般的に勧められています。AAP(米国小児科学会)も、短時間から始め、赤ちゃんの成長に合わせて増やしていく方法を紹介しています。

また、仰向けで寝る時間が長いことで、後頭部が平らになる「位置的頭蓋変形」が起こることがあります。その予防の一つとして、起きている時間のうつ伏せ遊びが紹介されています。

ここまでは、私も理解しています。

でも、私はここで一度、

「そもそも、何のためにタミータイムをするの?」

と考えてほしいのです。

「頭の形をきれいにするため」が一番大切なの?

赤ちゃんの頭の形が気になる。

少しでもきれいな頭の形にしてあげたい。

その気持ちは、親なら当然だと思います。

でも、赤ちゃんの身体を長年見てきた鍼灸師として私が気になるのは、

頭の形を整えることが目的になって、赤ちゃんの身体の準備が置き去りになっていないか?

ということです。

赤ちゃんは、生まれてすぐから自分の頭を自由自在に持ち上げられるわけではありません。

頭は身体に対してとても大きく、重たい。

首がまだ十分に安定していない赤ちゃんをうつ伏せにすると、赤ちゃんはその姿勢の中で一生懸命に身体を支えようとします。

ここで大切なのは、

「うつ伏せにすること」ではなく、
「その赤ちゃんが、その姿勢をどう受け取っているのか」

を見ることだと私は考えています。

赤ちゃんが「頑張っている」のか、「頑張らされている」のか

赤ちゃんをうつ伏せにすると、

「頑張って頭を上げようとしている!」

と、大人は思うかもしれません。

でも、私はそこで一度立ち止まって見てほしい。

頭を持ち上げられない赤ちゃんが、身体を反らせたり、首や背中に力を入れたりして、なんとか顔を上げようとしていないでしょうか?

赤ちゃんの身体は、まだ発達の途中です。

本来、身体を支えるためには、さまざまな筋肉が協調して働きます。

ところが、「頭を上げなきゃ」と頑張ることが先行すると、首や背中など表層の筋肉に力が入り、身体全体が反るような動きになる赤ちゃんもいます。

私は、こうした「反ることで頑張る身体」をとても大切に見ています。

なぜなら、赤ちゃんの姿勢は、授乳、呼吸、手足の動き、寝返りなど、さまざまな発達の土台につながっているからです。

「首がすわる」というのは、ただ頭を持ち上げることではない

ここは、ぜひお母さんたちに知ってほしいところです。

首がすわるというのは、

「頭を持ち上げられるようになった!」

という一つの動作だけを見ることではありません。

頭と首、背骨、体幹、手足が連動しながら、

「自分の身体を、自分でコントロールできるようになっていく」

その過程があります。

だから私は、

「何秒頭を上げられたか」

「早く首がすわったか」

だけではなく、

その子が、どんな身体の使い方で頭を支えているのか

を見てほしいと思っています。

「脳の発達のため」なら、何をしてもいいの?

タミータイムについて、

「目の発達にいい」
「脳の発達につながる」
「運動発達を促す」

という説明を聞くこともあります。

確かに、タミータイムには運動発達を促す目的があります。AAPも、上半身の筋力や運動発達を促す活動として紹介しています。

でも私は、

「脳の発達にいいから」という理由だけで、赤ちゃんに姿勢を頑張らせることには慎重であってほしい

と思っています。

なぜなら、脳から身体へ、身体から脳へ。

その情報が行き来するためには、神経系を含めた身体全体の協調が必要だからです。

特に首や背骨は、赤ちゃんの身体を考えるうえで、とても大切な場所です。

だからこそ私は、

「頭の形がきれいならいい」
「目がよく動けばいい」
「脳が刺激されればいい」

だけではなく、

「その刺激を受け取った身体が、どう動いているのか?」

まで見てほしいのです。

むち打ちになった経験がある人なら、身体のつらさが分かると思います

例えば、大人が首を痛めたとします。

首が自由に動かない。

身体を動かそうとしても、思うように動かせない。

頭では「動きたい」と思っているのに、身体がついてこない。

あの感覚は、本当にしんどいですよね。

私は、赤ちゃんの身体を見るときにも、

「身体が自分の思うように動くこと」

をとても大切にしています。

もちろん、赤ちゃんの発達を大人のむち打ちと同じものとして考えるわけではありません。

ただ、

「頭から身体へ、身体から頭へ、情報が行き来している」

という身体のつながりを、大人がもっと意識してもいいのではないかと思うのです。

じゃあ、タミータイムはやらないほうがいいの?

ここは誤解してほしくありません。

私は、タミータイムそのものを否定しているわけではありません。

実際、現在の小児科の一般的なガイダンスでも、赤ちゃんが起きていて、大人が見守っている状態でのタミータイムは、出生後早期から行えるとされています。

私が伝えたいのは、

「タミータイムをするか、しないか」だけの話ではない

ということです。

大切なのは、

その子にとって、今その姿勢がどうなのか?

ということ。

頭を上げようとして、気持ちよく身体を使えているのか。

それとも、

身体を反らせて、首や背中に力を入れて、なんとか頑張っているのか。

顔を伏せたまま苦しそうになっていないか。

呼吸はどうか。

授乳姿勢に変化はないか。

赤ちゃん自身が、その姿勢を心地よく受け入れられているか。

私は、そういうところを見てほしいと思っています。

頭の形だけを「正解」にしないでほしい

赤ちゃんの頭の形が気になる気持ちは、よく分かります。

でも、位置的な頭蓋変形は一般に良性であることが多く、成長して動けるようになるにつれて改善するケースもあります。AAPも、頭の形だけを理由に脳の発達に問題が起こるという確かな医学的根拠はないと説明しています。

だからこそ私は、

「頭の形をきれいにすること」だけを最優先にしなくてもいい

と思っています。

頭の形も大事。

目の発達も大事。

脳の発達も大事。

でも、それと同じくらい、

その子が、自分の身体をどう使っているのか。

ここを大切にしてほしい。

「知らなかった」からこそ、一度考えてみてほしい

お母さんたちは、決して間違ったことをしようとしているわけではありません。

「頭の形が良くなるなら」
「発達にいいなら」
「少しでも我が子のためになるなら」

そう思って、一生懸命やっているんです。

だから私は、

「タミータイムはダメ!」

と言いたいわけではありません。

むしろ、

今まで知らなかった身体の見方を、一つ増やしてほしい。

そう思っています。

「頭の形を整えること」と
「身体を育てること」。

どちらを選ぶべきなのかではなく、

そもそも、赤ちゃんの身体にとって今何が必要なのか?

を見てほしい。

そして、知ったうえで、

「うちの子にはどうなんだろう?」

と、ご自身で考えて選んでほしいのです。

私が一番伝えたいこと

赤ちゃんの発達は、

「できるようにさせる」ことではなく、

「できるようになる身体を育てる」こと。

私はそう考えています。

だから、

「何ヶ月だから、これをしなきゃ」
「頭の形のために、これをしなきゃ」
「発達のために、これをさせなきゃ」

と焦る前に、

まず赤ちゃんの身体を見てほしい。

その子は今、どんな姿勢をしている?

どこに力が入っている?

呼吸は楽そう?

授乳はしやすそう?

身体を自由に動かせている?

そして何より、

その子自身が、その姿勢をどう感じているんだろう?

そこから始めてほしいと思っています。

私は、頭の形だけを見るのではなく、

「頭・首・背骨・体幹・手足がつながった、一人の身体」として赤ちゃんを見ていきたい。

それが、私が16年以上、鍼灸師として赤ちゃんやママの身体を見てきた中で大切にしていることです。

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