目次
「昨年のこども家庭庁からの呼びかけで、新生児の突然死予防のために掛け布団はかけない方が良いと知りました。でも…」
こんなご質問をいただきました。
赤ちゃん訪問をしていると、心配になる光景を度々目にします。顔は真っ赤に鬱血したように紅潮し、手足は紫色で冷え切っている赤ちゃん。お話を聞くと、ほとんどのご家庭が掛け布団は使用せず、スリーパーのみ、もしくは薄いブランケット程度とのこと。特に新生児の足の色が悪く、赤黒い顔をしているのが気になります。(もちろん、乳児さんでも足首から下が紫色になっている赤ちゃんを見かけることも少なくありません。)
「これって、本当に大丈夫なのかな?」同じように感じているママ、もしかしたら少なくないのではないでしょうか。
国の指針が出ているとはいえ、目の前の赤ちゃんが明らかに冷えている様子を見ると、不安になりますよね。
実は、私自身も同じような状況に何度も立ち会い、「このままで本当に良いのだろうか…」と心を痛めてきました。
「掛け布団なし育児」の根拠と、見過ごされていること
「掛け布団による窒息死を防ぐ」という考え方は、主にアメリカのデータに基づいています。もちろん、安全な育児のために窒息のリスクを減らすことは非常に重要です。しかし、その情報だけが先行し、「室温と衣類で調整すれば良い」という部分だけが強調されすぎているように感じるのです。
目の前で、明らかに顔が赤く、手足が冷たい赤ちゃんを見ていると、本当に室温と衣類だけで足りているのか、疑問を持たざるを得ません。
特に新生児の場合、
体温調節機能が未熟である
母親の栄養状態が出生後の赤ちゃんの状態に影響する
包まれることで安心感を得る
といった特徴があります。
掛け布団をかけないことへの過敏な意識が、これらの大切な要素を置き去りにしてしまっているのではないかと、私は深く懸念しています。
赤ちゃんのサインを見逃さないで
もし、あなたの赤ちゃんが
顔が赤黒い、または鬱血したように赤い
手足が紫色で冷たい
元気がない、動きが少ない
体重が増えにくい
といった様子が見られる場合は、もしかしたら寒さを感じているサインかもしれません。
もちろん、これらの症状がすべて寒さによるものとは限りません。しかし、「泣いていないから」「動いていないから」大丈夫、と安易に判断してしまうのは危険です。
例えば、顔が赤く紫色になっている場合、血管炎の可能性や、血小板の減少なども考えられます。これらの背景には、たんぱく質不足といった栄養の問題が隠れていることもあります。
また、手足の冷えは、必ずしも寒いというサインではありません。大人の場合でも、交感神経が優位な時や、血行不良などで手足だけが冷えることがあります。しかし、新生児で手足が紫色になっている場合は、先天性静脈瘤やゴースト血管といった血行の問題も考慮する必要があります。
ただし、「掛け布団をかけない育児」の考え方にも重要な側面があります。足は体温調節のためのセンサーとしての役割も持っており、過度に温めすぎると、かえって体温調節機能を妨げる可能性も指摘されています。重要なのは、身体の中心部分(胴体)が温まっているかどうかです。
もし、赤ちゃんが床に寝転んだり座ったりする際に、おなかやお尻が冷えるようなら、それは明らかに寒いサインです。
軽く包むことの安心感と、エネルギー不足
赤ちゃんを軽く包んであげると、全身の色が良くなるというお話、とてもよく分かります。これは、包まれることによる安心感だけでなく、体温が安定し、エネルギーの消費を抑えられることも関係していると考えられます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、体温を維持するために多くのエネルギーを必要とします。もし、常に体が冷えている状態だと、エネルギーがどんどん消費され、体重が増えにくくなることも頷けます。エネルギーが不足すると、体は重要な臓器や脳へ優先的にエネルギーを供給するため、末端の手足は冷えやすくなるのです。
そして、このエネルギー不足には、お母さんの妊娠中の栄養状態が大きく関わってきます。
「〜しなければ」という呪縛からママを解放したい
「掛け布団をかけてはいけない」
その情報だけが一人歩きし、まるで「〜しなければならない」という義務感のように、ママたちを縛り付けてしまっているのではないでしょうか。
育児に正解はありません。目の前の赤ちゃんをよく観察し、そのサインを読み取ることが何よりも大切です。
「これで本当に良いのかな?」というママの直感は、決して間違っていません。どうか、自分の感覚を信じてください。
もし、育児に関して不安なこと、疑問に思うことがあれば、一人で悩まずに、私たちのような専門家を頼ってください。
そして、何よりも大切なのは、ママ自身が心身ともに元気であることです。ママの不安は、赤ちゃんにも伝わります。
「〜しなければならない」という呪縛から解放され、もっと自由に、もっと自信を持って育児を楽しめるように。
私たちは、そんなママたちを心から応援しています。
もし、今回の話で少しでも「ハッ」とすることがあったなら、ぜひあなたの周りのママたちにもシェアしてください。
この記事へのコメントはありません。